生活習慣病予防に関する果物の研究はダイナミックに展開されており、その推奨摂取量も大きく変化しています。そのため、にわかには信じられないことも多いと思われます。例えば、教科書の記載と違うぞ!とか。
1982年に行われたガン研究から世界で初めてガン予防のために果物と野菜の摂取が勧告されました。このときの調査文献数が約2000件です。その後、世界ガン研究財団などによる研究レポート(1997年)では4000件となり、昨年(2007年)報告された最新のガン予防に関するレポートでは7000件となり、最近10年間で研究論文が急激に増加しているのが分かります。
アメリカで1991年に始まったガン予防のための「5 A DAY運動」における果物と野菜の推奨摂取量は5サービングでした。しかし、研究の進展につれて推奨摂取量が増加し、10年後の改正では倍量となり、現在では毎日13サービングの摂取が推奨されています。
果物と野菜の摂取を推奨するガン予防運動の成果は素晴らしく、運動開始後、最初に10万人当たりのガンによる死亡率が減少し、次いで罹患率が減少しました。最近ではガンによる死亡者の絶対数も減少に転じています。
このように、ガンだけでなく心臓病や糖尿病など生活習慣病予防に関する研究は著しく進展しています。こうした研究の結果から果物の推奨摂取量も増加しています。にわかには信じられないかもしれませんが、時代はダイナミックに変化しています。
【用語解説】
サービング
サービングとは、食事の摂取単位のことで、1サービングは1回に食べる分量を示しています。リンゴやオレンジなら1個が1サービングです。
果物&健康N8WS Vol.208